ただ、言いたかった。





けれど、言えなかった。






たった一言。
けれどそれは何よりも尊く、何よりも醜い。
尊いだけならいえただろう。
けれど、それを伝えることは己の醜さだった。
伝えれば・・・縛り付けることになる。






だから言えなかった。






けれど、言いたかった。








きみを・・・     と。








何度も言葉を置き換えた。
きみが大切だと何度も言った。
きみが好きだと何度も囁いた。








けれど






一番言いたい言葉は






一度も言えなかった。







いちばん、伝えたかった言葉なのに・・・。






きみを縛ることを恐れて。






いや。
本当は・・・。







未来あるきみに”過去”にされたくなかった。







きみの未来に”大切な人”が現れたとき
ぼくは”過去”になってしまう。
それが、怖かった。








だから唯一の”ソルジャー”でありたかったんだ。








けれど、やはり伝えたかったよ。











きみを











愛している










と。