「いやです」
ジョミーはブルーの要望を拒んだ。
「どうしてもかい?」
切なそうにブルーが訊ね直す。
「どうしてもです!」
しかしどんな顔をされても、やはりジョミーも譲らない。
それにブルーが更に落ち込んだ表情になる。
「もしきみがこの願いを聞き入れてくれるなら
 ぼくは安心して静養できるのだが・・・」
その一言にジョミーの目の色が変わった。
「本当に、大人しく寝ていてくれますか?」
「もちろんだ」
にっこりと笑うブルーに、ジョミーは渋々ブルーの願いを聞き入れた。








十数分後。
青の間のブルーの元にジョミーが現れた。
ブルーの願いを聞き入れてメイド服だ。
さあ着たのを確認しろとばかりにブルーに歩み寄った。
「さあ、ブルー。
 これで良いでしょう。
 言われた通りにしたんですから、貴方も大人しく寝ていて下さい!」
ブルーが用意したメイド服を着て仁王立ちで立つジョミー。
それを見てブルーは悲しげに眉を寄せた。
「なんですか、その不満そうな顔は」
「ジョミー・・・。
 ぼくはきみが男の子でも女の子でも愛おしいと思っている」
何故か突然そんなことを言ってくる。
「はあ」
対するジョミーはもうこの手の言葉にはイヤというほど馴れたので
冷静に聞きとめる。
「つまり女の子でなくたって構わないということだ」
「・・えーと、ブルー?」
この話の意図が掴めない。
「それなのに、なぜあえて女装をせがんだと思う?」
そう言えばそうだ。
女の子でなくても構わないなら、女装の意味など無いに等しい。
「・・・何ででしょう?」
素直にジョミーは訊ねた。
・・・そして訊ねたことを後悔した。
「女装をして恥じらうきみが見たかったからだ!!」
「一生寝てろこの変態!」
力いっぱいに叫ぶブルーにジョミーは拳をフルフルと言わせた。
今にも飛び出してきそうなそれを押さえるように手を前に出しながら
あわててブルーは次の言葉を綴る。
「まて、ジョミー勿論それだけではない!!」
「他にどんな理由が?」
笑顔で訊ねるジョミーの、しかし目は笑っていない。
ブルーはこほんと咳払いをすると真面目な顔になった。
「恥じらうきみは脱ぎたいというだろう?」
「そりゃ言いますよ。
 今だってさっさと着替えたいくらいですから」
その言葉にしかしブルーは首を振る。
「着替えたいでは駄目だよジョミー。
 脱ぎたいと言ってくれないと!!」
「ブルー?」
またしても不穏な空気に、ジョミーの拳に力が隠る。
しかしそれに気付いているのかいないのか。
ブルーは最後の一言をきっぱりと真顔で口に乗せ・・・
「そうしたらぼくが脱がせてあげるという展開に・・・」
「寝言は寝て言え〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
ている途中でジョミーの拳がクリーンヒットして
ブルーは大人しくベッドに沈んだ。




まあ、いつもの日常だった。












コメント***

格好良いブルーが好きな方済みません。
何となくジョミーに女装〜と考えていたら
「女装が良いってことは、やっぱり女の子がいいんですね・・・」
と切なそうに呟くジョミーがいて
「誤解だジョミー!
 ぼくはただきみならどんな格好でも似合うと思っただけなんだ!
 男の子らしいきみも勿論愛している!」
と、慌てていいわけをするブルーを思いつき
こんな話が出来上がりました。
湖朱萌の脳内はギャグが80%以上を占めます!