きみは、ずっとこんな想いだったのだろうか。








ブルーは眠るジョミーの手を握り思う。
眠っている姿を見るのは痛い。
健やかに眠っているなら微笑ましく思えるのに
『もう目覚めないかも知れない』
その不安があると、これほどまでに痛く辛く苦しいものなのか。
この不安を何と言えば良いだろう。
拭うことの叶わぬこの不安を。

「ジョミー・・・目を、覚ましてくれ・・・」
実のある声で呼びかける。
現実を確かめないと目の前の不安に押しつぶされそうになる。
まだ生きているのはわかる。
触れる体温はまだ温かいから。
でもそれでは駄目なのだ。
生きているだけでは、駄目なのだ。
現実に戻ってきて欲しい。
不安で仕方がない。
「きみが目を覚まさないと思うと・・・・
 もうきみの暖かい心を感じられないと思うとひどく・・・」
『怖いんだ』
言って気付く。
ああ、そうだ。
この押しつぶされそうな不安。
これは怖いという感情だ。
「僕が、言うのは可笑しいかも知れないが・・・・」
そう、なぜなら自分はおそらく、
この不安をずっとジョミーに押し付けてきたのだから。
「だが、怖いんだ」
きみを失うのが。
「ジョミー・・・僕にはなんの力もないんだ・・・」
300年以上も生きていながら地球へ辿り着くどころか
見つけることすらかなわなくて
きみを目覚めさせることも、叶わない。
「僕では駄目なんだ。
 君だからこそ・・君ならできると思ったからこそ
 すべてを君に託した」
僕では無理でもきみならできると信じたから託しえたのだ。
苦しげに眉を寄せて呟く。
「僕の想いじゃない。
 きみはきみの想いのために、きみ自身の意思と力で闘え」
震える唇を叱咤して声を絞りだす。
「きみが、きみでなくては意味がない」
目頭に熱いものが込み上げてくるのを目を閉じてやり過ごす。


「きみらしさを失うな・・・・」



祈りにも似た仕草でジョミーの手を握り続けるが、
その手が握り返してくることはなかった。











コメント***

短いですが区切ります。
ブルーもアニメジョミーの辛さを思い知るといい
(嫌なやつです・・・済みません/汗)
もう二度と目覚めないかも知れないという不安に耐えながら
目覚めてくれると信じて毎日見つめ続けるのはかなきついんですよ。
その不安と、まだ生きているという安心の板挟みは精神すり減りますって!
勢い余って長くなりそうですが残り1話で終わらせ(られると思い)ます。
次の話は長くなるかも知れない・・・。