なんの嫌がらせ?


神様?仏様?マザー様?
信心深くない自分を此方のどちらかが怒って呪いでもかけたのか?
ジョミーは本気で思った。
目の前に情報はあったのに敢えて避けていたというのに・・・。
(そうだよ、さっきこの人が1年に復学って聞いたばかりじゃないか!)
それがたまたま同じクラスになる事だって有り得る。
有り得るけど有り得ないと思考から除外していた。
ただ今教壇の上で担任教師から紹介を受けている人物。
とても美しい顔立ちをしている。
もう少し薄ければプラチナブロンドであろうと思われるほど淡い金髪。
同じように色素の薄いブルーアイズ。
光の加減で時折赤く見えるそれは容姿と相まって、神秘的ですらある。
女生徒の殆どが見とれているその人は
本来なら一つ上だが、入院していたため授業が遅れて
本日から1年生として復学してきた人だ。
そう、つまり・・・・。
此方を認めたブルーが笑みを浮かべて軽く手を振る。
その様子に気づいた教師がジョミーに視線を送る。
「なんだ、ジョミー・マーキス・シン。知り合いなのか?」
「全・然!まったくこれっぽっちも知り合いになった覚えはありません!!」
ジョミーは思いきり首を振った。
その様子にブルーは寂しげに目を細める。
「ひどいな、ジョミー。
 其処まで否定されると傷つくじゃないか」
それはそれは麗しいお姿で。
その悲しげな表情は先ほど虜にされた女生徒達の同情を誘う。
「酷いじゃないジョミー、知り合いなのに知らないフリだなんて!」
「え?」
「そうよ!あんなに思いきり否定して、彼傷ついているじゃない!」
「いや・・その・・」
「全然しらない人があんなに親しげにファーストネームを呼ぶ?」
(否、あの人ミュウで勝手に名前で呼んできたから!)
「1年も学校休んでいて不安な彼を支えてあげようと思わないの!?」
「ちょ、ちょっと・・・」
「大丈夫ですよ、ブルー様!
 ジョミーの横のこの席はお譲りいたしますわ」
(いつの間に『様』付けー!!!)
そして初頭の言葉が浮かび上がる。
しかしジョミーが困惑していると、天の助けが入った。
「騒がしいぞ。
 その復学生が何処に座るのかは生徒ではなく、教諭が決めるものだ。
 勝手に決められた席を譲っていいものではない」
その言葉か、あるいはその言葉を発した人物への怖れか、
どちらかは定かではないが、女生徒達は皆黙り込んだ。
(ああ、ぼくきみなら信仰してもいいかもしれない)
「キース・・・」
自分の斜め後ろに座るキースにジョミーは感謝の視線を送った。
その様子を見ていたブルーが担任を振り向く。
「先生、ぼくは何処でも構いません。
 転入生ではないのですから、この学校に不慣れなわけではありませんし」
「そうか?」
「はい」
ブルーがにこりと笑顔で頷く。
「では・・・・」




担任の指定した席はジョミーの斜め後ろ。
丁度キースとは対照的な位置になる場所だ。
ジョミーからは敢えて見ようとしなければ見えない。
近いのはやや気になるが、それでも視界に入らないだけマシだ。
ジョミーはほうっと息をついた。




授業が始まって、そう言えば教科書は大丈夫だろうかと気になった。
気にしたくないはずなのに、関わりたくないはずなのに、
何故か気になってしまう。
ちらりと視線を少しだけ送ってみると、そこには少し視線を落として
教科書を繰っている姿があった。
その姿はとても綺麗で。
もっと見ていたいと思うのに、見ていると辛くて苦しくなる。
視線に気づかれてしまったのか、ブルーがふと視線をあげた。
ジョミーは慌てて教科書に視線を戻す。
(別に、嫌いなわけじゃないんだ)
ただ、こわい。
関わるのが。
近づいたら、彼の希望を聞き入れたら・・・。
そうしてしまったら彼は・・・。
その後には言葉が続かない。
続く言葉を探すのもこわい。
だから、ブルーと関わるのが全面的にこわい。
避ければ悲しげな顔をされ、それを見るのはとても痛いが
どうしても、どうしても彼と深く関わりたくはなかった。
(お願いだから、ぼくに関わらないで)
関われば貴方が・・・。









コメント***
ジョミーを中心に持ってくるとシリアス展開に・・・。
キースは同じクラス。
多分サムも同じクラス。
これにブルーとジョミー・・・
凄い濃いクラスが出来上がりそうですね・・・(笑)