ソルジャーが逝ってしまってから5年の月日が流れた。
ブルーは、15を迎えようとしていた。
「ブルー、ブルー、朝だよ!
起きてってば!!」
ぱたぱたとシーツの膨らみを叩くと、中の物体がもぞもぞと動く。
「まったく、寝汚いのはソルジャーそっくりなんだから!!」
「ぼくは父さんじゃない」
ジョミーの言葉に不機嫌そうな声が返ってきた。
「わかってるよ」
ぽんぽんとシーツから出てきた頭を軽く撫でてやる。
「早く降りてきてね」
言って扉に向かうと、ようやく起きだす気配があった。
ちらりと振り返れば、確かに上体を起こしていた。
銀にも見える程繊細な白髪。
そして瞳は、最上級のルビーを思わせる深紅。
剥れている顔は何処か幼さを残す。
だが、あと数年もすればソルジャーそっくりになるだろう。
それはそうだ。
彼はソルジャー・ブルーの連れ子。
表向きはそうなっている。
彼の父親はソルジャー・ブルーに他ならない。
だが、母親はいない。
ブルー自身も、産まれて間もなかったため知らないことだが、
ミュウを研究するために採られたデータを元に作られた
ソルジャー・ブルーのクローン。
それがブルーだ。
偶然にも作成初期段階で発見してソルジャーが救出出来たお陰で
その研究施設は破壊し、資料も破棄できた。
そして命ある彼はソルジャー・ブルーの子供として迎え入れられた。
ブルーという名は名を与えられることが無かった彼に
ソルジャーが分け与えた名前だ。
そのソルジャー・ブルーは、
いまだ蟠りのある人間とミュウの抗争に巻き込まれて命を落とした。
ブルーがソルジャーのクローンであることは、
現在ジョミーだけが知っている。
「また、ソルジャーって言った」
ジョミーは間違いなく、ブルーと父をちゃんと分けて見ている。
ブルーに対する態度は何処までも子供に対するものだ。
それは仕方のないことだが、不満だ。
「父さんは、確かに偉大な人だし
ぼくだって大好きだったけど・・・」
ジョミーはいつまでたってもソルジャーソルジャーという。
月命日の墓参りも欠かさなければ、彼の後を継いで毎日忙しそうだ。
他のミュウ達は、父そっくりの自分にとても期待を寄せてくれている。
木賃と父譲りのタイプ・ブルーだし
赤ん坊の頃から父に育てられたのだから、
中途覚醒のジョミーより知っていることだってある。
それなのにジョミーはブルーに頼ってくれることはない。
「ぼくは、いつまで”父さんの子供”でいればいいんだよ・・・」
ジョミーの認識がそれであるかぎり、ブルーは先に進めない。
初めてあったときのジョミーはとても活発で元気があって、
遊んでくれる大好きな人だった。
だから、父の再婚にも大賛成だった。
この人が何時も一緒にいてくれたらとても楽しいだろうと。
実際、とても楽しい日々だった。
だが・・・父が逝ってしまい・・・。
その人が父の墓の前で立ち、雪の中で静かに泣いていた。
それは何処までも儚く、それでいてとても強くて・・・。
綺麗だと思った。
崩れないように必死に立とうとするその背中を
父のように抱きしめてあげたいと思った。
その時はまだ10歳で、身長も包容力も足りず
逆に抱きしめられ、支えられてしまったけれど。
あの時、確かに自分はあの人に恋をした。
守れるようになると、心に誓った。
コメント***
子ブルーの設定は、『大宇宙に笑顔でキメ』の邪乱様より
ブクロから設定を頂きました!
許可証も頂きました!
子ブルーの設定
『地球政府にサンプルとしてとられたブルーの遺伝子データ
をもとに作られたブルークローン!略してブクロ!』
これで実母問題一気に解決です!!
悩み所はジョミーを女にするか男のままでいくか・・・。